これが21世紀の独自のお笑いスタイル。6人からなるよふかしの会は何度見てもその異世界に引き込まれてしまう。

この魅力はなんだろう。一人一人からソロでも通用するほど(実際ソロでＲ－１の決勝に出た人物もいる)の笑いの技術をもっている。その6人が集まった時お互いの個性がぶつかってしまうのではないかと心配する人もいるだろう。


が、しかし。彼らの舞台を見ればそんな心配は一気に吹き飛ぶのである。最初はスーパーマリオのＢＧＭをそれぞれが口に出して言うと言う突飛なネタは見る者の心をすぐつかんだ。
よふかしの会、全員の出演コントが終わったあとは一人や複数のコントが始まる。一つの劇団でこんなにもバラエティなコントを楽しめるなんて20分じゃ短すぎるだろう。しかし、それがＡ－１グランプリの恐ろしさでもあり、特色でもあるのだ。

人形劇とパラレルワールドの交じり合った新しい世界へようこそ！　
下の画像を見て誤解しないでほしい。これは決してＮＨＫ教育の人形劇の画像じゃない。これがちまたで小劇場界を騒がせている、バジリコ・Ｆバジオなのだ。
ちなみにこの画像の人形はスターウォーズのヨーダでもないからご注意を。

いったいこれからどうなる？
何が始まる？
我々は夢を見てるのか？
はたまた世界の終わりか？
ノンノンノン。
これがバジリコ・Ｆバジオが仕組んだ２０分のパラレルワールドなのだ。

観客は１２００秒のトリップ体験を味わい、見終わったあとにはキツネに騙されたような表情になっていた。全てがバジリコ・Ｆバジオの計算通り。筆者も見終わったあとにはまんまとしてやられ、ラストにみなが歌っていたＡＫＢの曲が一週間頭から離れられなかったぐらいだ。
これからのバジリコ・Ｆバジオに気をつけろ！！
いったいバジオって誰なんだ！！！

主催・劇団福耳にも演(や)らせろ！

四組の箸休め、かつ審査対象外として行われた劇団福耳『海老蔵』は純血を守る二人(童貞)が小林麻央を海老蔵のもとから助け出すという、ハチャメチャなストーリーだ。劇団福耳が最も得意とするジャンルであり、２０分と言う濃縮バージョンで行われた。
敬愛するマキシマムザホルモンとＢＥＡＴ ＣＲＵＳＡＤＥＲＳの楽曲でバカダンスを踊りまくり、ラストには海老蔵も登場し、もう～何がなんだかワカラナイ！分からないけどなんか観てて楽しい！それが劇団福耳なのだ！バカ！

ドドーン！
なんだ下の画像は！
新宿ロフトプラスワンの舞台をめぇ～いっぱい使いやってきました「ひげ太夫！」
初めて観る人は、ただただ驚くだろう。観たことある人は隅々を見てあそこはどうなってるんだろう？と楽しむものもいるだろう。何度も見ても新たな発見が出来るそれが『ひげ太夫』ということを忘れるな！

まさに圧巻の舞台運びは見るもの釘づけ！本当にカナヅチで目を打ったんじゃないかと疑うほど観客が一体化した舞台は今まで見たことない。笑いと感動、そして口ぽか～んはまさに『ひげ太夫』の十八番。

もちのろんで最初『ひげ太夫』が屋根の低い新宿ロフトプラスワンの舞台で演じることが出来るのかという疑問はあった。Ａ－グランプリの幹部たちは連日話し合いをし、色々な策を練ってみたがどうもしっくりこない。結果すべて丸投げ、しかし『ひげ太夫』にはそんなことは朝飯前だった。Ａ－１制作委員会幹部たちはほっと肩をなでおろし、筆者はそれを横目で眺め、俺たちのやってきたことは間違いじゃなかったと気づくのである。
ドドーン！

誰もが学生時代クラスにマドンナがいただろう。心の中でその娘を思い、告白もせずにおわる。『青春事情』はまさにそんな悶々とした思いをいいおっさんたちが全力１２０％振り切って演じてみせた。しかも映画サークルのマドンナということにひっかけ会話の中に映画のタイトルが随所にちりばめられている。メジャー映画から、「え？そんな映画まで？」という映画好きな人もニヤリとその奥に隠れた八重歯を見せるほどのだ。

しかもポンポンと会話のテンポがあがり、まさに観てるこっちが三人組の中に入り込み一緒に演じてるんじゃないかのような錯覚さえ起こさせる。

ラストはそのマドンナの結婚式で映画のテーマ曲に合わせて替え歌をするという誰もが思いつかない突飛な発想で場内を「そう来たか！」と唸らせたのであった。そこには結婚してしまうマドンナへの思い、そして幸せになってほしいという願ひがこめられ、もう観てるこっちは目から落ちるものは汗なのかなんなのかわからねぇー！
胸キュン思いにさせ、誰もが忘れていた性春な事情を思い出させる２０分間だったのだ！

何処が優勝してもわからない。いや、むしろ全員優勝させたい。それで賞金１０万円をもっていってもらいたい！観客は大半はそう思っていたかもしれないが、それだと劇団福耳の主宰かつＡ－１グランプリの三谷の財布がなくなり翌月に迫っていた３５歳のアメリカ留学の道も全てオジャンになるということで、一組だけＡ－１グランプリの覇者を選ばなければいけない。
どうやって選ぶかというと、おなじみ観客の皆さんによる投票！お客さんはそれぞれ二つの票を持ち、それを舞台上にある劇団名が書いてある箱の中に入れるだけ、ただそれだけなのだ！同じ劇団に二票入れられないのがミソである。それなので、お客さんを多く呼んだ劇団が必ずしも勝つとは限らないそれがＡ－１グランプリののイイネ！な所なのである！

ｔｔ田中(劇団福耳)のＡ－１グランプリを振り返って。

賞金１０万円！

投票結果は最終的に『ひげ太夫』と『青春事情』の競い合いとなり、見事『ひげ太夫』の優勝となった！
おめでとうございます！


［投票内訳］
有効投票２７８ポイント
観客２ポイント／１人
特別審査員１０ポイント／１人

ひげ太夫　９１
青春事情　７９
夜ふかしの会　７２
バジリコＦバジオ　３６

『ひげ太夫』吉村さんの言葉

みなさま、みなさんのおかげでこんなものを頂くことが出来ました。
私たちは今日、もしかしたらみなさんより楽しんじゃったかもしれなくて、
本当にみなさんが拍手してくれたり、笑顔で観てくれるのがすごくすごく嬉しくて、その上こんなものまで頂いて本当にありがたいです。
どうもありがとうございました！
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豪華ゲスト、特別審査員のみなさまのコメント

特別審査員のみなさまより、コメントをアンケートでいただいているので、掲載させていただきます。

７％竹	前説等で会場を大いに盛り上げてくれました。次回のＡ－１では決勝に残ってくれることでしょう。（渡部智氏） くだらない歌詞なのだが、なぜか切なさを感じさせられるこの人が表舞台に出てこれる世の中はとても素晴らしい！（渡部智氏） いい加減で良かったです。（楢原拓氏） 熱いですね。曲の合間のたたずまいが哀しくてイイですね。（K*WEST氏） 武藤さんの存在感は凄い。立っているだけで雰囲気がある。個人的に大好きな人だ。しかし、本日は司会のような役回りに徹し、ネタらしいネタを見ることが出来なかったのが残念だ。（手塚宏二氏）
ジョニー大蔵大臣	俺も安めぐみあきらめてないよ！！（玉山悟氏） くだらない歌詞なのだが、なぜか切なさを感じさせられる。この人が表舞台に出てこれる世の中は、とても素晴らしい！（渡部智氏） ジョニー大倉というのは知っていましたが、不勉強ながらジョニー大蔵大臣というのは知らず、初見でした。とてもエネルギッシュなパフォーマンスで、後半はほとんど歌というより絶叫でしたけど、切実さが感じられて良かったと思います。（楢原拓氏） 前説芸？がんばってください。前のめりなかんじをみてみたいです。（K*WEST氏） ギターが迫力があり、オープニングにふさわしく会場の雰囲気を一気に盛り上げた。歌の内容はシュールすぎて、どこが面白いのかわからないくらい面白かった。少し長かったかも。。（手塚宏二氏）
夜ふかしの会	ケイコ量がうかがえるすばらしい舞台だと思います。（玉山悟氏） 完成度の高いコントで楽しませていただきました。５人でのコントがもっと見たかったです。（渡部智氏） 盛りだくさんな内容でサービス精神に溢れてたと思いますが、反面、やや詰め込み過ぎた感じがあり、全体的に散漫な印象が残りました。もう少しスケッチを絞り込むか、断片の寄せ集めを通じて、何か巨大なイメージか立ち現れて来るような趣向があると、20分という時間が非常に濃密なものになったのかなあと思います。（楢原拓氏） これからなんかあるのかなーと思ったら終わったんでビックリしました。テンポはいいですね。（K*WEST氏） 夜ふかしの会は、コントオムニバス。ひとつひとつが完成度が高く、コント集団としての面目躍如。 中でも最後にやったモテキをテーマにした作品が最高に面白かった。（手塚宏二氏）
バジリコＦバジオ	ストーリー、キャラ設定ともバカバカしくてよいと思います。（玉山悟氏） 短い時間にこのストーリーを作り上げる力はさすが！最後の歌の部分は見せ場なので、バシッときめてほしい。（渡部智氏） 2時間余りのナンセンス作品を20分に凝縮したような、そんな作品でした。しかし、この手の世界観は3時間くらいかけて寄り道や脱線をいっぱいしてダラダラと描かれるからこそ成立し得るものだと思いますので、やはり、20分程度だとストーリーを追うことに大半の時間が割かれしまって、結果、薄っぺらな感じになってしまったように思います。ただ、おじいさんの人形は大変迫力ありました。というかキモチ悪かったです（笑）（楢原拓氏） 夜ふかしの会となんかネタがカブってましたね。シュールすぎで？になってしまいました。（K*WEST氏） もてない男たちの青春グラフティ。要所要所で持ち味のキモカワ人形が絡んできたが、やはり圧倒的存在感。 ラストは得意技の美輪明宏人形で会場を湧かせた。（手塚宏二氏）
劇団福耳	１００人の警官とホンモノのパトカーが突入してくるラストシーンのスペクタクルがよかったです。（玉山悟氏） 表現したいという熱い思いは感じましたが、お客さんが置いてけぼりになってしまっていたかも，，，（渡部智氏） 童貞ネタやＳＭネタ、海老蔵ネタなど、全体的に学芸会的なノリで懐かしささえ感じましたが、こういうのは散々やり尽くされているので、もう少し新鮮なネタや斬新な切り口・スタイルで見せてもらいたかったなあと思います。（楢原拓氏） 状況がよくわかりません。おいてけぼりになりました。（K*WEST氏） 童貞もの。海老蔵、小林麻央夫妻をネタに妄想の世界を繰り広げる。大の大人が真剣に馬鹿をやっている姿がすがすがしい。（手塚宏二氏）
ひげ太夫	作品の強度が高くておもしろいと思います。（玉山悟氏） 壮大なストーリーを全て体で表現する、まるで映画かアニメを見ているような、ひげ太夫ワールドに圧倒されました！（渡部智氏） タッパの低い今回の会場でも果敢に持ち芸である組体操に挑んだその姿勢に関心させられました。とても手の込んだ良質な見世物だったと思います。欲を言えば、大人に見せるのであれば、もう少し、ふざけた感じや毒があった方がさらに面白くなるのかなあと思いました。ストリップの前座でも成立するような･･････（笑）。まあ、これはあくまで個人的な趣味の問題ですが･･････。（楢原拓氏） 表現力ハンパないですね。組体操で味まで表現するとは、、、。いい意味で楽しんでらっしゃいます。伝わります。全力感には感動すらおぼえました。中毒性ありますね。またみたいです。（K*WEST氏） 得意の組体操を駆使して狭い会場いっぱいに暴れまくったという感じ。フィジカルシアターのような演技の中にオリエンタルな要素と大衆演劇の股旅物的テイストを入れ混ぜて独自の世界を作り上げている。 しかも描いている世界は人情的であり暖かい。もっとタッパのある会場でやらせてあげたかった。（手塚宏二氏）
青春事情	ネタの盛りこみ具合がいいと思います。（玉山悟氏） 映画好きの３人の会話に終始笑わせてもらいました。元ネタを知らない人がどれだけ楽しめたかが審査の決め手になるか，，，（渡部智氏） 映画のサントラ曲を無理矢理お祝いの歌詞つけて歌ってしまうという、その終盤の展開が非常に面白かったです。ただ、前半の新婦をめぐる三人の男の過去の攻防（?）のエピソードがややステレオタイプで、あまりリアリティが感じられなかったので、それがちょっと惜しいかなと･･････。（楢原拓氏） 映画ネタが効いてるし、みなさんお芝居うまいですね。非常にみやすかったです。もっと極端でもいいのでは、、、。（K*WEST氏） 青春事情は結婚式のスピーチをネタに最後のオチに至るまで演劇的なコント。一番演劇よりだった。作品がよく練られているし、演技もさすがの安定感だった。そして最後の歌がこれまた秀逸。（手塚宏二氏）
イベント総評	決勝ということでどの団体もレベルの高い戦いでしたが、ひげ太夫は会場の盛り上がりもズバ抜けていたと思います。優勝おめでとうございます。（渡部智氏） 　20分という短い時間、何もない小空間、これらの制約をどう生かして密度の濃い作品を創られるか、このあたりが非常に問われたと思いますが、なかなか皆さん苦戦していたように思います。　そのような制約を逆手にとって、もう少し驚きや発見があっても良かったと思いますが、「モテない男子」や「童貞男子」が頻出するような類似性が全体的な傾向として見られ、おそらく自分たちの世代のテレビや漫画の影響なのでしょうが、あまり突出した刺激的な作品・カンパニーに出会えなかったことはちょっと残念に思います。　出演者が女性ばかりで、同世代男子的なノリとは無縁で、さらに終始おとぎ話的な世界観で見せてくれた「ひげ太夫」が優勝したというのも、まあ組体操の特異性というのはありましょうが、他にはない新鮮さがあったからではないでしょうか。（楢原拓氏） 投票されて選ばれたグループなので仕方ないかもしれませんが、「ひげ太夫」以外、なんとなくカブってる感じがしました。予選のバラエティ多さがなかったのが残念です。個人的には「身うちうけユニット７％竹」が決勝にあがるべきだと思いました。（K*WEST氏） さすが予選を勝ち抜いてきた団体、いずれも力作だった。それぞれがカラーを持っていることと、独自の発想で作品を作ってることが素晴らしかった。大変ナイスなイベントである。これからも是非継続してもらいたい。（手塚宏二氏）

A-1事務局　制作ディレクター
大内涼子（カミナリフラッシュバックス）の証言

	Ａ-1グランプリ！遂に終結致しました！ 世の中にはこんなに面白い奴らがいるんだぜ！って叫びたくて始めたイベントでしたが、皆様、彼らの熱い叫びが届いたでしょうか？ ふとした時にこの一夜をふと思い出してくれたら幸いです。 もっと小劇場界が盛り上がればいい！ そんなわけで、主宰三谷はアメリカに旅立ちました。あっちのエンターテイメント界のBOSSに交渉しに行くみたいです！！今度は世界ですね！楽しみにしてましょう！